Fall into Well
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KAN のブランドコンセプトには、「Fall into Well」という言葉があります。直訳すると、「井戸に落ちる」。少し不思議な言葉ですが、「Well」には井戸という意味だけでなく、「良い状態」「健やかな状態」という意味もあります。KAN にとって「Fall into Well」とは、深く酔っていくことではなく、少しずつ、いい状態に落ちてゆくことです。
KAN が考えているのは、ただ酔うための飲み物ではありません。日々の生活の中で、私たちは知らないうちにいろいろなものに囲まれています。仕事のこと、誰かとの関係、周りから入ってくる情報。気づかないうちに、外側に意識が向いている時間も多いものです。そんな日常の中で、一度立ち止まって、自分の感覚に戻っていく。何を考えているのか。今、何を感じているのか。何が心地よくて、何が自分にとって大切なのか。KAN が言う「いい状態に落ちてゆく」とは、そうやって少しずつ、自分の中にある感覚や軸に戻っていく時間のことです。
何かを頑張って足していくのではなく、外から与えられるものを一度離れて、自分の中にあるものに気づいていく。頭で考え続けるのではなく、味や香り、温度、風、会話のような感覚に身をゆだねていく。その変化は、アルコールだけによって起こるものではありません。
その感覚の入り口として、KAN のサワーは、広島・湯来町の水から始まります。山の中で、雨や雪が地中に入り、長い時間をかけて地下を通ってきた水。その土地の環境の中で育まれた水を使い、素材の味わいを生かしながら、一杯の飲み物にしていく。水も、素材も、つくる場所も、飲む場所も、本来はそれぞれ別のものではありません。山があり、水が生まれ、植物が育ち、人がそれを口にし、誰かと語らう。その時間の中に、飲み物があります。KAN にとって「飲む」という行為も、その一連の中にあります。
仕事を終えて外に出たとき、昼間とは違う風を感じる。誰かと話しているうちに、いつの間にか自分のことを話している。食事をしながらゆっくり飲んでいると、普段なら気に留めない香りや味に気づく。そういう時間の中で、意識が少しずつ外側から自分自身へ戻ってくる。
だから KAN は、飲み物だけで「いい状態」をつくろうとは考えていません。自然の中で深く息をすること。食べること。誰かと話すこと。一人で静かに過ごすこと。音楽を聴くこと。何もせず、ただ時間が過ぎるのを待つこと。普段は当たり前にしていることの中に、自分の感覚を取り戻すきっかけがあります。KAN は、その時間のそばにある飲み物でありたいと思っています。
「いい状態」は、どこか特別な場所に行かなければ得られないものではない。いつもの食事や、仕事終わりの一杯、誰かと過ごす夜。その中で、自分の感覚に戻る瞬間がある。少しずつ、外側のものが静かになって、自分の中にあるものが見えてくる。
深く、酔っていくのではなく、いい状態に落ちてゆく。 「Fall into Well」という言葉には、KAN がつくりたい飲み物だけではなく、その飲み物を手にした人が、自分自身の感覚に戻っていくような時間まで含めた意味を込めています。
