004_「水」その2_日本海の魚と韓国人ラッパーの狭間

004_「水」その2_日本海の魚と韓国人ラッパーの狭間

日本海の魚はなぜ美味いのか?

最近知ることができて嬉しかったのは「日本海の魚がなぜこんなに美味いのか」ということ。島根県隠岐島のジオパークの方から聞いた。


山陰にルーツを持つ私にとっては、世界一美味い(と言っても過言ではない)魚を生で食っている、という誇りを持てる。


日本海の特徴は、岸からすぐに深くなる特殊な海。沿岸から数10kmで1,000m級へ落ちる急深であり、外洋からほぼ隔離された大きな盆地状の海は、世界の他にはない。そのため平均水温が低い海流が溜まりやすく魚に脂がのりやすい。対馬暖流の影響でプランクトンが豊富なため、食物連鎖が豊かである、というもの。


水の記事を書いていると、身の周りで気づくことが増えた。日本海の深く、その冷たさを感じながら寿司を味わい、熱々のあがりを飲んだ。



飲める水は少ない

寿司を食いながら、飲めない海水と飲める淡水の違いについて考える。


前回の記したように、海水から一時的に引き出されたのが淡水であり、私たちはその淡水に依存し生きている。ただ、この地球でヒトが飲める水は少ない。


地球上に存在する水の総量は約14億 km³。サムネイル(冒頭の写真)の “ All water on, in, and adove the Earth ” ような直径1,385kmの巨大な水の玉。地球全体を均等に水で覆うと、約2,700mの高さになる。


地球上の淡水の量は約3,600万km³で、水の総量からすれば2.6%にすぎない。(サムネイルの “ Liquid fresh water ”) さらに淡水の70%は循環せずに北極や南極の氷床となっており、他は地下に閉じこめられている。


比較的短時間で循環する淡水=私たちが飲める水は、水の総量の0.77% 約1,100万km³しかない。(サムネイルの “ Fresh-water lakes and rivers ”)即ち、約直径10kmの水の玉を82億3200万人で分けていることになる。それが多いか少ないかはさておき、

おい、地球のみんな仲良くしようや!と心から思った。いつまでもあると思うな、平穏な日常と天然資源。とはいえ、今日も水をいっぱい飲み風呂にも入る。




新しい水が宇宙から飛んでくる

水ってなくならないのか?と思うが上手く地球の中で循環している。正確には、宇宙からも新たに水が供給されている状態らしい。主な現象を2つ調べた。


ひとつめは、流れ星や隕石が運ぶ水。宇宙空間を漂う微小隕石(宇宙塵)や、炭素質コンドライト隕石には 水分子(H₂O) や 水を含む鉱物(含水鉱物) が含まれている。


毎日、数百トン規模の宇宙塵が地球に落ちていて、それらの中には数%水を含むので、年間で推定数十〜数百トンの水が地球に増えているという計算になる。


ふたつめは、太陽風と地球表面との反応で「新しく水が作られる」状態。太陽からは太陽風が常に吹いている。いやいや、宇宙に空気は無いから風もないでしょうと思うが、ここで言う風は「粒子の流れ」を指す。電子・陽子・ヘリウムイオン・微量の宇宙塵が薄いガスとして地球へ降り注いでいる。密度の変動はあるが、流れは400〜800 km/s (秒速400〜800km)という速さ。


この陽子=水素原子の核が地球の岩石中の酸素と反応して、その場で H₂O(水)が生成される。岩石の表面に吸着したり、空隙に閉じ込められたり、条件によってはごく微量ながら蒸発する。


結果、新しい水はすごい勢いで宇宙から飛んできてるんかい!と思って頭上を見上げるが空はポカーンとしている。何も知らなければ、ただの秋晴れ、雲はゆっくりで日差しあったか〜という感想しかでてこない。




韓国人ラッパーの最期

こうやって宇宙のことを考えだすと、韓国人ラッパーの Keith Ape(キース・エイプ)の言葉が度々よぎる。曲は全然聴いたことはない。


彼は2021年に「余命3~6ヶ月」だと医者に告げられ、自身のSNSでこう綴った。 “ I WANT LEAVE MY NOISES AS MUCH AS I CAN BEFORE I LEAVE THIS PLANET ” (この惑星を離れる前に、できるだけ多く自分の音を残したい)


…死という現象を、「この惑星から離れる」と表現していたのが頭から離れない。


何気なく生活していたら、目に見え、音が聞こえる範囲に気を使うことにとどまるが、生きているという当然が揺らぐとき、「惑星」という規模感で今を感じられることがあると思う。


目の前のコップ1杯の水に対して疑問を持つことも、そういうことに近い気がした。難しいけど、たまにはこの地球や宇宙みたいな、漠然とした大きな力に意識を向けられたら良いなと思った。



(ちなみにKeith Apeを検索したら、まだ生きてました)

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